世界遺産-条約その5

5.国際的援助の条件及び態様

第十九条

いかなる締約国も、顕著な普遍的価値を有する文化遺産又は自然遺産の一部を構成する物件で自国の領域内に存在するもののため、国際的援助を要請することができる。締約国は、当該要請を行う場合には、自国が所有しており、かつ、世界遺産委員会が決定を行う上で必要とされる第二十一条に規定する情報及び資料を提出する。

第二十条

この条約に規定する国際的援助は、第十三条2、第二十二条c.及び第二十三条の規定が適用される場合を除くほか、文化遺産又は自然遺産を構成する物件であって、世界遺産委員会が第十一条の2及び4に規定する一覧表のいずれかに記載することを決定し又は決定することとなっているものにのみ与えることができる。

第二十一条

  1. 世界遺産委員会は、国際的援助の要請を検討する手続及び要請書の記載事項を定める。要請書は、作業計画、必要な作業、作業に要する経費の見積り、緊急度及び援助を要請する国の資力によってすべての経費を賄うことができない理由を明らかにするものとする。要請書は、できる限り、専門家の報告書によって裏付けられなければならない。
  2. 天災その他の災害に起因する要請は、緊急な作業を必要とすることがあるため、世界遺産委員会が直ちにかつ優先的に考慮するものとし、同委員会は、このような不測の事態に備えて同委員会が使用することができる予備基金を設けるものとする。
  3. 世界遺産委員会は、決定に先立ち、同委員会が必要と認める研究及び協議を行う。

第二十二条

世界遺産委員会は、次の形態の援助を供与することができる。

  1. 第十一条の2及び4に規定する文化遺産及び自然遺産の保護、保存、整備及び活用において生ずる芸術上、学術上及び技術上の問題に関する研究
  2. 同委員会が承認した作業が正しく実施されることを確保するための専門家、技術者及び熟練工の提供
  3. 文化遺産及び自然遺産の認定、保護、保存、整備及び活用の分野におけるあらゆる水準の職員及び専門家の養成
  4. 当該国が所有せず又は入手することができない機材の供与
  5. 長期で返済することができる低利又は無利子の貸付け
  6. 例外的かつ特別の理由がある場合における返済を要しない補助金の供与

第二十三条

世界遺産委員会は、また、文化遺産及び自然遺産の認定、保護、保存、整備及び活用の分野におけるあらゆる水準の職員及び専門家のための全国的又は地域的な研修センターに対して国際的援助を与えることができる。

第二十四条

大規模な国際的援助の供与に先立ち、詳細な学術的、経済的及び技術的な研究が行われなければならない。これらの研究は、文化遺産及び自然遺産の保護、保存、整備及び活用のための最も進歩した技術を利用するものとし、この条約の目的に適合するものでなければならない。これらの研究は、また、当該国が利用し得る能力を合理的に用いる方法を追求するものとする。

第二十五条

国際社会は、原則として、必要な作業に要する経費の一部のみを負担する。国際的援助を受ける国は、財政的に不可能な場合を除くほか、各計画又は事業に充てられる資金のうち相当な割合の額を拠出する。

第二十六条

世界遺産委員会及び国際的援助を受ける国は、両者の間で締結する協定において、この条約に基づいて国際的援助が与えられる計画又は事業の実施条件を定める。当該国際的援助を受ける国は、当該協定に定める条件に従い、このようにして保護される物件を引き続き保護し、保存し及び整備する責任を負う。

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会事務局 文化財課 世界遺産推進係
電話番号:0288-25-3200
ファックス番号:0288-25-7334
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