世界遺産の概要

世界遺産条約が生まれたのは、地球上に存在するさまざまな文化遺産や自然遺産を、ある特定の国や民族のものとしてだけでなく、世界のすべての人にとってかけがえのない宝物として、保護していこうという考え方からでした。

第一次世界大戦前から国際機関では、文化財や自然環境の保護が議論されてきました。1945年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)が創設され、1954年には「武力紛争の際の文化財の保護のための条約(ハーグ条約)」が、1970年には「文化財の不法な輸出、輸入および所有権譲渡の禁止および防止に関する条約」が採択されました。

このような中、1960年代にエジプトのアスワン・ハイダム建設に伴って、ヌビア遺跡が水没の危機にさらされます。ユネスコは、このナイル河流域に広がるアブシンベル神殿など古代ヌビア文明の遺跡群の救済キャンペーンを呼びかけ、20カ国以上の国の協力によって、この遺跡群の移築に成功し、人類共通の遺産を守ることができたのです。この保存移築が「世界遺産条約」誕生の発端でした。

1970年代に入って、ユネスコの専門家によって文化遺産の、さらには国際自然保護連合によって自然遺産の国際的保護に関する条約づくりが進められました。そして、1972年ストックホルムで開催された国連人間環境会議でこの二つの条約案を一つにすることが提案され、同年、パリのユネスコ本部で行われた、第17回ユネスコ総会において「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約(通称:世界遺産条約)」が採択されました。

世界遺産とは、この世界遺産条約に基づく世界遺産リストに記載〈登録〉された遺産のことで、「文化遺産」「自然遺産」とその両方を兼ね備えた「複合遺産」とに分けられています。

平成12年5月現在、世界の160か国が条約を批准しており、日本は1992年(平成4年)に、この世界遺産条約の締約国となりました。

このようにして、国際的な自然環境保護の気運の高まりとともに、文化財と自然を合わせて保護していこうという「世界遺産条約」がここに誕生したのです。

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教育委員会事務局 文化財課 世界遺産推進係
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