「日光の社寺」の保護体制

法的保護体制

日光の社寺」が世界遺産に登録されるためにはいくつかの前提条件があったわけですが、中でも今後、「日光の社寺」を保存・保全していくうえで特に重要であり、世界遺産登録推薦の鍵を握っていたのが「日光山内」の国史跡への指定でした。この国史跡指定への取り組みと史跡「日光山内」の保存管理計画についてご紹介いたします

推薦書作成と国史跡指定

鳥居の奥に陽明門が写っている白黒写真

平成9年10月、「日光の社寺」の世界遺産登録への気運が高まり、日光市教育委員会内に「世界遺産登録推進班」を設置しました。登録への実質的作業が急ピッチでスタートしたわけです。世界遺産登録推薦書提出までの時間は9ヶ月、推薦書の作成は文化庁の指導を得ながら、二社一寺、公益財団法人日光社寺文化財保存会、栃木県教育委員会、日光市教育委員会が連携を図りながら進められました。これと同時平行して手続きを進めなければならなかった重要な事案が「日光山内」の国史跡への指定でした。世界遺産に登録推薦するうえでの前提条件として、推薦される区域がその国の法律で保護されていることが必要であったからです。それまで、建造物については国宝や重要文化財に指定され、保護が図られている山内地区でしたが、面的な保護策は講じられていなかったのです。

国史跡指定への取り組み

平成9年11月、二社一寺、学識経験者、文化庁、栃木県教育委員会を構成メンバーとする「日光山内地区保存管理計画策定委員会」を日光市教育委員会内に設置し、国史跡指定への取り組みと、その区域をどのように保存管理していくかという保存管理計画の作成が進められました。そして、限られた期間の中で指定申請書が整えられ、平成10年5月、二社一寺をはじめとする土地所有者及び占有者の方々や関係者の皆様方のご協力によって、「日光山内」50.8ヘクタールは文化財保護法による国指定史跡に指定されました。これによって、世界遺産登録推薦の前提条件のひとつがクリアーされたと同時に、「日光山内」はこれまでの自然公園法等による保護に加え、文化財保護法による保護が新たに図られたのです。

「日光山内」の保存管理計画

屋根付きの塀が写っている塀日光の社寺イメージ セピア色写真

「日光山内地区保存管理計画策定委員会」では、史跡「日光山内」をどのように保存管理していくかといった「日光山内保存管理計画」を作成しました。史跡「日光山内」の区域をその用途にしたがって5つの区域に分け、それぞれに区域内の建築物の新増改築、工作物の設置撤去、土地の形状変更、木竹の伐採、さらには発掘調査等について現状を変更する場合の取扱いが規定されています。そして、現状を変更する場合は文化庁の許可が必要となっています。

また、計画書では史跡「日光山内」の整備活用計画についても触れています。史跡を保存管理することはもちろんですが文化財の活用を推進することも重要です。そのためには、環境整備を図るとともに、より積極的な整備の検討やソフト面の充実が必要です。例えば案内看板の統一化や車両乗り入れ規制の検討など、世界に誇る文化遺産として整備、充実に努めることが大切です。

保護体制の「仕組」

保護体制のイメージ図

このように、国指定史跡となり、保存管理されている「日光山内」。1999年12月、「日光の社寺」が世界遺産に登録されたため、山内地区はこれまで以上に保護が図られ、その素晴らしい文化遺産は人類共通の世界の宝物として未来へ引き継がれることになるのです。

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会事務局 文化財課 世界遺産推進係
電話番号:0288-25-3200
ファックス番号:0288-25-7334
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