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更新日:2012年3月31日
「日光の社寺」が、世界遺産に登録されるには日本国政府によるユネスコへの推薦が条件でした。国の推薦を得るためには、一体どのようなことを進めなければならなかったのでしょうか。
世界遺産に推薦されるためには、まずこの暫定リストに登載されていることが必要です。この暫定リストは、世界遺産条約の各締約国が5年ないし10年以内に世界遺産リストへ登録するために推薦しようとしている資産のリストで、国が選定し世界遺産委員会に提出します。(文化遺産のみ提出)「日光の社寺」は1992年に登載されました。
世界遺産に推薦される前提条件として、推薦される区域が国内法によって法的に守られていることが必要です。今回、推薦された「日光の社寺」の内容は、建造物群と遺跡(文化的景観)、つまり、二社一寺の建物群と、その境内地や建造物周辺の山林地域なので、個々の建物とそれらをとりまく面的な保護が必要でした。それまで、個々の建造物については、国宝や重要文化財としての法的な保護が既になされていましたが面的には文化財としての保護がなされていなかったため、推薦されるためには、文化財保護法による史跡の指定が必要でした。二社一寺をはじめとした多くの方々のご協力によって事務が進められ、平成10年5月、「日光山内」は史跡に指定されました。
世界遺産条約の作業指針で定められていて、推薦される資産を保護するために、その周辺に設けなければならない区域です。資産の周辺を取り巻く環境や雰囲気といったものを保護していこうというもので、このバッファーゾーンについても法的に保護されていることが必要です。「日光の社寺」の場合は、自然公園法、都市計画法、森林法、河川法、砂防法、日光市街並景観条例を根拠として区域を設定しました。
推薦書は、推薦する資産の歴史や価値などを記載した本文、建物の形や配置などの図面、写真、スライド、ビデオからなっていて、全て英文で作成されました。推薦書の提出期限は、毎年1回、7月1日までとなっており、「日光の社寺」の推薦書も6月に、文化庁と環境庁の共同推薦という形で、日本政府が外務省を通してパリのユネスコ世界遺産センターへ提出されました。
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