○日光市男女共同参画推進条例

平成21年3月12日

条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第8条―第18条)

第3章 男女共同参画の推進を阻害する行為の制限等(第19条―第23条)

第4章 日光市男女共同参画審議会(第24条)

第5章 雑則(第25条)

附則

すべての人は平等であり、性別にかかわらず、一人ひとりが尊重されなければなりません。

わが国では、日本国憲法において、個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、国際社会と連動しながら、男女共同参画社会の形成に関する取組みが進められています。

日光市においては、男女共同参画の推進をまちづくりの重要な方策として位置付け、男女共同参画社会の実現に向けた取組みを積極的に進めています。

しかし、家庭や職場、地域の中で、依然として性別による固定的な役割分担意識に基づく社会制度や慣行が根強く存在しており、個人の自由な活動や生き方の選択に影響を及ぼしています。

また、一方では、ドメスティック・バイオレンスなどの性別に起因する暴力が、人権を侵害する行為として男女共同参画の推進を妨げています。

さらに、私たちを取り巻く状況は、本格的な少子高齢化、家族形態の多様化、国際化及び高度情報化の進展などの急速な変化に直面しています。

このような状況に対応していくためには、家庭や職場、地域における男女の従来の意識を改革し、男女が互いの人権を尊重し、共に協力し合い、責任を担い、一人ひとりの個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を早急に形成し、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が保たれ、人と人との心が通い合う、思いやりに満ちた温かいまちを築いていくことが重要であります。

ここに日光市は、あらゆる分野の人々が協働して「一人ひとりが輝く男女共同参画のまち日光」を早期に実現することを決意し、この条例を制定するものです。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育に関わる者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する市の施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、男女共同参画社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、性別にかかわらず個人として尊重され、家庭、職場、学校、地域その他の生活において対等に参画し、一人ひとりの個性及び能力が十分に発揮され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 市民 市内に居住する者並びに市内において働く者、学ぶ者及び活動する者をいう。

(3) 事業者 市内において事業を行う個人、法人その他団体をいう。

(4) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を是正するため、必要な範囲内において男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(5) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、恋人等の親密な関係(配偶者であった者及び恋人等の親密な関係にあった者を含む。)において行われる身体的、精神的、経済的又は性的な苦痛を与える暴力その他言動をいう。

(6) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方に不快感を与えること若しくは生活環境を害すること又はその相手方の対応によりその者に不利益を与えることをいう。

(7) ワーク・ライフ・バランス 仕事と生活の調和をいい、誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発その他の活動について、自らの希望に沿った形で展開できる状態をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる基本理念に基づき行われなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取り扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、男女の性別に起因した暴力が根絶されることその他の男女の人権が尊重されること。

(2) 男女が、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会制度や慣行にとらわれることなく多様な生き方を選択することができるよう意識の改革が進められること。

(3) 男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は家庭、職場、学校、地域その他のあらゆる分野における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 男女が、家庭の重要性を認識し、子育て、介護その他の家庭生活における活動について、互いに協力し合い、家庭生活と家庭生活以外の社会における活動との両立ができるよう配慮されること。

(5) 家庭、職場、学校、地域その他のあらゆる分野の教育が、男女の人権の尊重を基本として行われること。

(6) 男女が互いの身体的特徴及び性についての理解を深め、かつ、尊重し合うことにより、生涯にわたり心身共に健康な生活を営むことができるようにすること。

(7) 男女共同参画の推進のための取組みが、国際社会の動向と密接な関係があることを考慮し、国際社会と協調して行われること。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的かつ計画的に策定し、実施しなければならない。

2 市は、前項の規定による施策以外の施策の策定及び実施に当たっては、基本理念に沿うよう配慮しなければならない。

3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を推進するため、必要な推進体制を整備するとともに、財政上の措置その他の必要な措置を講じなければならない。

4 市は、男女共同参画の推進に当たっては、自らが率先し、市民及び事業者と協働し、国及び他の地方公共団体と連携して取組まなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、男女共同参画に関する理解を深め、かつ、男女共同参画の推進に自らが積極的に取組むよう努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保及びワーク・ライフ・バランスに配慮し、男女共同参画の推進に積極的に取組むよう努めなければならない。

2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(教育に関わる者の責務)

第7条 家庭、職場、学校、地域その他のあらゆる分野の教育において、次代を担う子どもの教育に関わる者は、個々の教育を行う過程において、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(基本計画)

第8条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という)を策定するものとする。

2 基本計画の策定に当たっては、基本理念に基づかなければならない。

3 市長は、基本計画の策定及び変更に当たっては、市民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、第24条に規定する日光市男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。

4 市長は、基本計画を策定又は変更したときは、速やかにこれを公表するものとする。

(市民の理解を深めるための措置等)

第9条 市は、市民が、男女共同参画についての関心と理解を深め、男女共同参画の推進に向けた取組みを積極的に行うことができるよう、広報啓発活動、情報提供その他必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、男女共同参画推進のための人材育成を行うため、研修の実施、活動の場の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

3 市は、刊行物等を作成するに当たっては、性別による固定的な役割分担等を助長し、又は連想させるような表現を用いることにより、男女共同参画の推進を阻害することのないよう努めなければならない。

(事業者が行う活動への支援等)

第10条 市は、事業者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報提供、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

(農林水産業及び家族経営的な商工業等の分野における措置)

第11条 市は、農林水産業及び家族経営的な商工業等の分野において、男女が個人として能力を十分に発揮し、その能力が正当に評価され、経営における対等な構成員として仕事と生活の責任を担い合うことができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(学習活動への支援)

第12条 市は、家庭、職場、学校、地域その他のあらゆる分野の教育の場において、男女共同参画の推進のための学習機会の充実及び学習活動への支援を行うものとする。

(仕事と生活の両立支援)

第13条 市は、男女が、子育て、介護等の家庭生活において、相互に協力し合えるようワーク・ライフ・バランスに配慮した必要な支援を行うものとする。

2 市は、事業者が行うワーク・ライフ・バランスに配慮した取組みを支援するため、必要な措置を講ずるものとする。

(政策・方針決定の場における委員等の構成)

第14条 市は、附属機関等を設置するに当たり、男女が共に政策の立案及び決定並びに具体的な施策の実施に参画できる機会を確保し、必要に応じて積極的改善措置を講ずることにより、男女双方の視点が欠けることのないよう努めるものとする。

2 市は、社会のあらゆる分野における活動の意思決定過程において、男女間に参画する機会の格差が生ずることのないよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

3 市は、政策の立案及び決定並びに具体的な施策の実施に当たっては、性別にかかわらず、市の職員個人の意欲と能力に応じて均等な機会を確保し、率先して男女共同参画を推進するものとする。

(年次報告)

第15条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施内容及び進捗状況について、年次報告書を作成し、これを公表するものとする。

(表彰)

第16条 市長は、男女共同参画推進のための取組みを積極的に行っている事業者を表彰することができる。

2 市長は、前項の規定により表彰を行ったときは、当該表彰を受けた者の取組みを公表するものとする。

3 前2項に定めるもののほか、表彰の基準その他表彰に関し必要な事項は、規則で定める。

(男女共同参画週間)

第17条 市は、市民及び事業者の男女共同参画の推進についての理解を深めるため、男女共同参画都市宣言の日を記念し、毎年3月に日光市男女共同参画週間を設けるものとする。

(意見等の申出への対応)

第18条 市民及び事業者は、市が実施する施策において、男女共同参画の推進に関係する意見や苦情(以下「意見等」という。)があるときは、規則で定めるところにより、市長に申し出ることができる。

2 市長は、前項の申出があった場合は、適切に対応するとともに、必要と認めるときは、第24条に規定する日光市男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。

3 市長は、第1項の意見等の申出について、当該申出を行った者に対し、意見等への対応を通知するものとする。

第3章 男女共同参画の推進を阻害する行為の制限等

(性別に起因する権利侵害の禁止)

第19条 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、直接的又は間接的を問わず、性別に起因する権利侵害や差別的取り扱いを行ってはならない。

2 何人も、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。

3 何人も、ドメスティック・バイオレンスその他男女間において身体的、精神的な苦痛を与える暴力その他の言動を行ってはならない。

(性別に起因する権利侵害に関する相談)

第20条 市は、前条に関する相談に対し、適切な対応を行うために必要な相談体制の整備を行うものとする。

2 市は、前条に関する相談に対しては、関係機関と連携して適切かつ迅速に必要な支援を行うものとする。

(性別に起因する暴力に対する措置)

第21条 市は、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他性別に起因する暴力を防止し、その被害者に必要な支援を行うための措置を講じなければならない。

(被害者の緊急一時保護)

第22条 市は、前条に規定する暴力を受けた者からの申し出があったときは、別に定めるところにより、被害者(被害者がその家族を同伴する場合にあっては、被害者及びその同伴する家族をいう。)の緊急一時保護を行うものとする。

(公衆に表示する情報への配慮)

第23条 何人も、公衆に表示する情報が社会に及ぼす影響を考慮し、性別による固定的な役割分担又は男女間の暴力的行為を助長し、又は連想させる表現にならないよう配慮しなければならない。

第4章 日光市男女共同参画審議会

(日光市男女共同参画審議会の設置及び組織)

第24条 男女共同参画の推進を図るため、日光市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、この条例に定めるもののほか、次に掲げる事務を行う。

(1) 市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査審議すること。

(2) 男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、必要に応じ調査し、市長に意見を述べること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が特に必要と認めた諮問に応じ、答申すること。

3 審議会は、市長が委嘱する20人以内の委員をもって組織する。

4 審議会は、男女のいずれの委員の数も、委員の総数の10分の4未満とならないものとする。ただし、市長がやむを得ない事情があると認めたときは、この限りではない。

5 委員の任期は、2年とし再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が規則で定める。

第5章 雑則

(委任)

第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成21年4月1日から施行する。

日光市男女共同参画推進条例

平成21年3月12日 条例第5号

(平成21年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 市長部局/第7節 男女共同参画
沿革情報
平成21年3月12日 条例第5号