○日光市環境基本条例

平成23年3月1日

条例第4号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策(第9条・第10条)

第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進(第11条―第22条)

第4章 日光市環境審議会(第23条)

附則

「日の光ふりそそぐ地、日光。」

太陽からの恵みを受け、連続する森林地帯が広がる日光市では、豊かな命が循環している。この地では、希少な自然と歴史文化遺産が調和した国立公園から身近な里山や湧水、田園風景に至る多彩な自然環境が広がっている。

「豊かな自然からの恩恵。」

かけがえのない自然は、空気、水、土などの資源を育み、水源地に住んでいる私たちだけでなく多くの人々にも恵みを与えている。これは、先人の努力があったからこそ、現在の私たちが享受できるものである。そして、豊かな自然は、意志を持って守っていかなければ壊れてしまうものである。

「子どもたちへの約束。」

私たちは、健全で恵み豊かな環境の下で、安全で快適な生活を営む権利を有している。そして、先人と同じようにこの環境を守り、育み、未来を担う子どもたちに引き継がなければならない。

いま、私たちは、地域と地球に生じる環境問題を真剣に受け止め、一人ひとりが日常生活のあり方を見直すとともに、環境をよりよくするための行動を自ら実践しなければならない。

私たちは、日光市を訪れる多くの人々とともに、かけがえのない自然を守り、環境への負荷の少ない循環型社会を形成し、環境資源を活かした環境交流を実現するためにこの条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、市民、事業者、滞在者及び市の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で快適かつ文化的な生活の確保並びに環境を通じて市民と滞在者との交流が育まれることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境の保全及び創造 環境の保全(自然環境の保全や公害の防止等環境の保全をいう。以下同じ。)にとどまらず、潤いと安らぎのある快適な生活空間を創出することをいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化、オゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で快適かつ文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

(5) 滞在者 通勤、通学、旅行等で市に滞在する者(市を通過するものを含む。)

(6) 環境交流 環境資源(優れた自然、歴史文化遺産等の環境資源をいう。以下同じ。)を活用して市民と滞在者がふれあい又は交流することにより環境の保全について相互に理解を深めることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造をするための基本理念(以下「基本理念」という。)は、次に掲げるとおりとする。

(1) 環境の保全及び創造は、市民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともにその環境が将来の世代に継承されるように、適切に行われなければならない。

(2) 環境の保全及び創造は、人と自然とが共生し、環境への負荷の少ない持続的に発展することができる社会が構築されることを旨として行われなければならない。

(3) 環境の保全及び創造は、すべてのものが参画するとともに、環境交流を通じて行われなければならない。

(4) 地球環境の保全は、市民、事業者、滞在者及び市が自らの課題であることを認識し、すべての日常生活及び事業活動において推進されなければならない。

(5) 環境の保全は、市民、事業者、滞在者及び市が事業活動その他の人の活動を行うに際し、最大限尊重されなければならない。

(基本理念に対する役割)

第4条 市民、事業者、滞在者及び市は、基本理念を実現するためにそれぞれの責務に応じて公平な役割を分担しなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活において廃棄物の発生抑制、資源及びエネルギーの節約その他環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(滞在者の責務)

第7条 滞在者は、基本理念にのっとり、環境への負荷の低減その他の環境の保全及び創造に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(市の責務)

第8条 市は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。

2 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に当たり、広域的な取組みを必要とするものについては、国及び他の地方公共団体と協力して行うよう努めなければならない。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

(基本的指針)

第9条 市が環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するときは、次に掲げる環境の保全及び創造に関する施策の基本的な指針(以下「基本的指針」という。)によるものとし、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 連続する森林地帯、健全な水循環、水と緑の自然環境の保全等かけがえのない環境を守り育むまちづくりを進めること。

(2) 大量生産、大量消費及び大量廃棄型社会がもたらす環境問題について理解を深め、廃棄物の発生抑制と資源としての再使用又は再生利用を推進し、環境への負荷の少ない循環型社会のまちづくりを進めること。

(3) 生活排水、騒音、振動、悪臭等の都市生活型公害や産業公害を防ぎ、化学物質による人の健康や生態系への影響を未然に防止していくなど快適で安心して暮らせるまちづくりを進めること。

(4) 市民、事業者、滞在者及び市のすべてが、地球環境の保全について環境に配慮した責任ある行動をとることにより、地域から地球環境に貢献する環境にやさしいまちづくりを進めること。

(5) 環境資源を活かし、多彩な環境交流が育まれるまちづくりを進めること。

(環境基本計画)

第10条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ市民の意見を反映するために必要な措置を講ずるとともに、日光市環境審議会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、環境基本計画を定めたときは遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第3章 環境の保全及び創造に関する施策の推進

(環境の状況等の報告書の作成)

第11条 市長は、毎年度、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する施策の実施状況を明らかにした報告書を作成し、これを公表するものとする。

(環境への配慮措置)

第12条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境への負荷の低減が図られるように、環境の保全について十分に配慮しなければならない。

2 市は、市民、事業者及び滞在者が自発的に環境への負荷の低減を図ることとなるように、環境への配慮について必要な措置を講ずるものとする。

(規制等の措置)

第13条 市は、公害を防止するために公害の原因となる行為に関する規制、指導、助言その他必要な措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するために規制その他の必要な措置を講ずるものとする。

(支援措置)

第14条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、市民又は事業者が自らの行為に係る環境への負荷を低減させるための施設の整備その他適切な措置に対し、必要な支援措置を講ずるものとする。

(環境教育の充実及び環境学習の推進)

第15条 市は、市民、事業者及び滞在者が環境の保全及び創造について理解を深めるとともに、環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるよう環境教育の充実及び環境学習の推進に努めるものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第16条 市は、市民、事業者、滞在者又はこれらの者の組織する民間の団体が、自発的に行う清掃活動、資源の循環的な利用に資する活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるために必要な措置を講ずるものとする。

(情報提供の実施)

第17条 市は、前3条に定める事項を推進するために必要な情報の提供に努めるものとする。

(調査及び研究の実施)

第18条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を適正に推進するため、環境の保全及び創造に関する事項について情報を収集し、調査し、及び研究するよう努めるものとする。

(監視等の体制の整備)

第19条 市は、環境の状況を的確に把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に推進するために必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

(市民等の意見の反映)

第20条 市は、市民、事業者、滞在者又はこれらの者の組織する民間の団体の意見を環境の保全及び創造に関する施策に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(水と緑の自然環境の保全の推進)

第21条 市は、水と緑の自然環境を良好に保全するとともに、自然との触れ合いを通じた多彩な環境交流を図るために必要な措置を講ずるものとする。

(地球環境の保全の推進)

第22条 市は、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境の保全に資するための施策を積極的に推進するものとする。

第4章 日光市環境審議会

第23条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、環境の保全及び創造に関する基本的事項を調査し、審議するため、日光市環境審議会(以下この条において「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、市長の諮問に応じて、次に掲げる事務を調査し、又は審議する。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 環境の保全及び創造に関する重要な施策に関すること。

3 審議会は、委員15人以内をもって組織する。

4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 公募の市民

(2) 学識経験を有する者

(3) 事業者を代表する者

(4) 市民団体を代表する者

(5) 関係行政機関の職員

(6) 前各号に掲げる者のほか、市長が特に必要と認めた者

5 委員の任期は、2年とする。ただし再任を妨げない。

6 委員に欠員が生じたときの補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。

(日光市環境審議会条例の廃止)

2 日光市環境審議会条例(平成20年日光市条例第7号)は、廃止する。

日光市環境基本条例

平成23年3月1日 条例第4号

(平成23年4月1日施行)