○日光市地域循環によるゼロカーボンシティ実現条例

令和6年3月8日

条例第4号

世界各地において記録的な高温、豪雨、洪水等が発生し、平均気温や海面水位の上昇が観測され、地球規模での気候変動が問題になっています。

この地球規模での気候変動問題に関して、2015年に採択されたパリ協定をはじめとして、世界各国で温室効果ガス削減に向けた機運が高まっています。

国においては、2020年にカーボンニュートラル宣言を行い、2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指した取組を活発化させています。

本市においても、2021年12月に「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを達成する都市(ゼロカーボンシティ)を目指しています。

ゼロカーボンシティは、市、市民及び事業者だけでなく、観光旅行者その他滞在者を含めた本市に関わるすべての者が協働し、一体となって取り組まなければ実現できません。

一方で、人口減少や少子高齢社会の進行による地域経済やコミュニティの衰退が顕在化しています。

そこで、中長期的な効果を見込む脱炭素社会の実現を進めながら、直面する地域課題の解決も行うよう、現在から未来に向けて活力ある地域づくりを目指す必要があります。

本市は、ラムサール条約登録湿地をはじめとする自然環境、水資源や森林、多様な生態系及び世界遺産に代表される多くの文化財という大切な地域資源を未来に継承していかなければなりません。そして、これらの地域資源を最大限に活用しながら地域の脱炭素化に取り組み、地域の経済及び社会を循環させていくことが求められています。

ここに、未来かがやく日光を創り、将来の世代に引き継いでいくため、あらゆる主体が協働し、一体となってゼロカーボンシティを実現させることを固く決意し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、地域循環によるゼロカーボンシティの実現に関し、基本理念を定め、市並びに市民、事業者及び観光旅行者その他の滞在者(以下「市民等」という。)の責務を明らかにするとともに、地域循環によるゼロカーボンシティの実現に関する施策(以下単に「施策」という。)の基本となる指針を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを達成すること並びに地域課題の解決及び持続可能な地域価値の向上を目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 地域循環 市及び市民等が地域資源を保全し、育成し、最大限に活用することにより、地域の環境活動、市民活動、経済活動その他活動(以下「地域活動」という。)を活性化させ地域経済及び社会を好循環させることをいう。

(2) 市民 日光市に居住する者、働く者、学ぶ者及び活動する団体をいう。

(3) 事業者 市内において事業を行う個人、法人をいう。

(4) 観光旅行者その他の滞在者 旅行等で市内に滞在する者(市を通過するものを含む。)をいう。

(5) 脱炭素 市域における社会経済活動その他の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出の抑制並びに吸収作用の保全及び強化をいう。

(6) 温室効果ガス 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号。)第2条第3項に規定する温室効果ガスをいう。

(7) 地域価値 自然景観、自然環境、歴史、文化その他地域の持つ魅力及び質をいう。

(8) 再生可能エネルギー 太陽光、風力、水力、バイオマスその他化石燃料以外のエネルギー源のうち、永続的に利用することができると認められるものを利用して得られるエネルギーをいう。

(基本理念)

第3条 地域循環によるゼロカーボンシティを実現するための基本理念(以下「基本理念」という。)は、次に掲げるとおりとする。

(1) 脱炭素の重要性を認識し、脱炭素を推進するための行動に自主的かつ積極的に取り組むこと。

(2) 地域資源を有効に活用しながら脱炭素の推進に取り組み、地域課題の解決に貢献すること。

(3) 脱炭素の推進と良好な市民生活の確保との両立を図り、地域価値の向上及び地域活動の活性化を目指すこと。

(4) 脱炭素を推進するための行動を互いに最大限尊重すること。

(市の責務)

第4条 市は、施策を策定し、これを実施しなければならない。

2 市は、施策の実施に当たり、市民等と協働して行うよう努めなければならない。

3 市は、市民等が地域循環によるゼロカーボンシティの実現への意識及び関心を高め、脱炭素の推進に自主的かつ積極的に取り組むことができるよう、社会的気運が醸成されるための取組に努めなければならない。

4 市は、地域循環によるゼロカーボンシティの実現に関し、国及びその他の地方公共団体との連携に努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、日常生活において、脱炭素の推進に貢献するサービスや商品を取り入れるなどの行動に積極的に取り組むよう努めなければならない。

2 市民は、自らの行動と地域資源の保全及び育成との関係性を意識し、行動しなければならない。

3 市民は、再生可能エネルギーの自主的かつ積極的な導入に努めなければならない。

4 市民は、市が実施する施策を協働して行うよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、事業活動において、脱炭素の推進に貢献するサービスや商品の開発及び販売を行うなどの行動に積極的に取り組むよう努めなければならない。

2 事業者は、自らの事業活動と地域資源の保全及び育成との関係性を意識し、行動しなければならない。

3 事業者は、再生可能エネルギーの自主的かつ積極的な導入に努めなければならない。

4 事業者は、市が実施する施策を協働して行うよう努めなければならない。

(観光旅行者その他の滞在者の責務)

第7条 観光旅行者その他の滞在者は、地域循環によるゼロカーボンシティの実現に関わる当事者であることを意識しなければならない。

2 観光旅行者その他の滞在者は、公共交通機関の積極的な利用などの脱炭素の推進に貢献する行動に努めなければならない。

3 観光旅行者その他の滞在者は、市が実施する施策を協働して行うよう努めなければならない。

(基本的指針)

第8条 市が施策を策定し、及び実施するときは、次に掲げる基本的な指針によるものとし、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 脱炭素を意識した地域循環の取組を進めること。

(2) 温室効果ガスの排出量の削減に取り組み、持続可能なまちづくりを進めること。

(3) 地域の特性を活かした再生可能エネルギーを導入し、エネルギー自給率の高いまちづくりを進めること。

(4) 脱炭素による地域課題の解決や地域価値の向上を図り、地域循環によるゼロカーボンシティを実現すること。

(5) 二酸化炭素吸収源である森林の保全及び整備を進めること。

(実行計画)

第9条 市長は、施策を総合的かつ計画的に推進するために地域循環によるゼロカーボンシティの実現に向けた計画(以下「実行計画」という。)を定めるものとする。

2 市長は、実行計画を定めたときは遅滞なく、これを公表しなければならない。

3 前項の規定は、実行計画の変更について準用する。

(規制等の措置)

第10条 市は、温室効果ガスの排出量を削減するために必要な規制、指導、助言その他の措置を講ずることができる。

2 前項に定めるもののほか、市は、地域循環によるゼロカーボンシティの実現への支障に対する規制、指導、助言その他の必要な措置を講ずることができる。

(財政上の措置)

第11条 市は、施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、令和6年4月1日から施行する。

日光市地域循環によるゼロカーボンシティ実現条例

令和6年3月8日 条例第4号

(令和6年4月1日施行)