○日光市消費生活条例

平成29年3月6日

条例第2号

目次

第1章 総則(第1条―第10条)

第2章 消費者への支援(第11条・第12条)

第3章 消費者の保護

第1節 危害の防止(第13条―第15条)

第2節 表示等の適正化(第16条―第26条)

第4章 消費者教育等の推進(第27条)

第5章 苦情等の処理(第28条―第30条)

第6章 日光市消費生活審議会(第31条)

第7章 雑則(第32条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差に鑑み、消費者の利益の擁護及び増進に関し、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念を定め、市、事業者及び事業者団体の責務並びに消費者及び消費者団体の役割を明らかにするとともに、その施策について必要な事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する施策(以下「消費者施策」という。)を総合的に推進し、もって市民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 商品 消費者が消費生活において使用する物をいう。

(2) サービス 消費者が消費生活において使用し、又は利用するもので、商品以外のものをいう。

(3) 消費者 商品又はサービスを使用し、又は利用して消費生活を営む者をいう。

(4) 事業者 消費者に対して消費生活の用に供する商品又はサービスの製造、販売、提供その他これらに類する行為を業として行う者をいう。

(5) 事業者団体 事業者の共通の利益の増進のため事業者により組織された団体をいう。

(6) 消費者団体 消費者が消費生活の安定のため、自主的に組織する団体をいう。

(7) 取引等 契約の締結についての勧誘、契約の締結その他これらに類する行為をいう。

(基本理念)

第3条 消費者施策の推進は、市民の消費生活における基本的な需要が満たされ、その健全な生活環境が確保される中で、次に掲げる消費者の権利を尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行われなければならない。

(1) 商品及びサービス(以下「商品等」という。)によって生命、身体及び財産に危害を受けない権利

(2) 商品等について不適正な取引条件及び取引方法を強制されない権利

(3) 商品等について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保される権利

(4) 消費生活において必要な情報が提供される権利

(5) 消費者教育(消費者教育の推進に関する法律(平成24年法律第61号)第2条第1項に規定する消費者教育をいう。以下同じ。)の機会が提供される権利

(6) 消費者施策に消費者の意見が反映される権利

(7) 取引等によって不当に受けた被害から適切かつ迅速に救済される権利

(8) 消費生活において消費者の個人情報が侵害されない権利

2 消費者施策の推進は、消費者の安全の確保等に関して、専門的知見に基づき被害の拡大を防止するとともに、事業者による適正な事業活動の確保が図られるよう配慮されなければならない。

3 消費者施策の推進は、デジタル社会、国際化の進展及び社会経済情勢の変化に的確に対応することに配慮して行われなければならない。

4 消費者施策の推進は、環境の保全に配慮して行われなければならない。

(令3条例45・一部改正)

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念にのっとり、消費者施策を策定し、実施する責務を有する。

2 市は、消費者施策の策定及び実施に当たっては、消費者の安全を確保し、消費者及び消費者団体の意見を反映するよう努めるものとする。

3 市は、消費者施策の策定に当たっては、国及び県と役割を分担し、国及び県の施策との整合性を図るとともに、その実施に当たっては、必要に応じて国、県その他関係機関との連携に努めるものとする。

4 市は、消費者の自主的かつ合理的な行動を支援するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

5 市は、消費者団体が行う消費生活の安定及び向上に資する健全かつ自主的な活動の支援に努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、第3条に規定する基本理念に鑑み、その供給する商品等について、次に掲げる責務を有する。

(1) 消費者の安全及び消費者との取引等における公正を確保すること。

(2) 消費者に対し、必要な情報を明確かつ平易に提供すること。

(3) 消費者との取引等に際して、消費者の年齢、知識、経験及び財産の状況等の多様な特性に配慮すること。

(4) 消費者の個人情報を慎重かつ適正に取り扱うこと。

(5) この条例及び関係法令を遵守するとともに、消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理すること。

(6) 環境の保全に配慮すること。

(7) 市が実施する消費者施策に協力すること。

2 事業者は、消費者の意向を事業活動に反映させ、その供給する商品等について品質等を向上させ、その事業活動に関し自らが遵守すべき基準を作成すること等により消費者の信頼を確保するよう努めなければならない。

3 事業者は、消費者教育の推進のための自主的な活動に努めなければならない。

(事業者団体の責務)

第6条 事業者団体は、事業者の自主的な取組を尊重しつつ、事業者と消費者との間に生じた苦情の処理の体制の整備、事業者自らがその事業活動に関し遵守すべき基準の作成の支援その他の事業者が消費者の信頼を確保するための自主的な活動に努めるものとする。

2 事業者団体は、消費者教育の推進のための自主的な活動に努めるものとする。

3 事業者団体は、市が実施する消費者施策に協力するよう努めるものとする。

(消費者の役割)

第7条 消費者は、自ら進んで消費生活に関する必要な知識を修得し、及び必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない。

2 消費者は、消費生活について、環境への負荷の低減その他の環境の保全に配慮するよう努めなければならない。

(消費者団体の役割)

第8条 消費者団体は、消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓発及び教育、消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとする。

2 消費者団体は、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場において行われる消費者教育に協力するよう努めるものとする。

(相互協力)

第9条 第4条から前条までに定めるもののほか、市、事業者、事業者団体、消費者及び消費者団体は、相互に連携及び協力をして、消費者の利益の擁護及び増進に努めなければならない。

(消費生活基本計画)

第10条 市長は、消費者施策を総合的かつ計画的に推進するため、消費生活に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 市長は、基本計画の策定に当たっては、第31条に規定する日光市消費生活審議会の意見を聴かなければならない。

第2章 消費者への支援

(情報の収集及び提供)

第11条 市長は、消費生活に関する情報を収集するとともに、消費者に必要な情報を適切かつ迅速に提供するよう努めるものとする。

(消費者の特性への配慮等)

第12条 市長は、年齢その他の特性により特に配慮が必要な消費者に対する支援を行うときは、当該消費者が日常生活を営むために必要な支援を行う者に対し協力を求める等によりその特性に応じた支援を行うよう努めるものとする。

第3章 消費者の保護

第1節 危害の防止

(欠陥商品等の供給の禁止)

第13条 事業者は、常に必要な措置を講ずることにより、消費者の生命、身体又は財産に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある商品等(以下「欠陥商品等」という。)を消費者に供給してはならない。

(欠陥商品等に対する事業者の措置)

第14条 事業者は、その供給する商品等が欠陥商品等に該当すると認めたときは、直ちに当該商品等について、公表、回収、改善その他の必要な措置を講じなければならない。

(欠陥商品等に対する市長の措置)

第15条 市長は、欠陥商品等が消費者の生命、身体又は財産について重大な危害を発生させ、又は発生させるおそれがある場合において、当該商品等が欠陥商品等であることが明白であり、かつ、当該危害を防止するため緊急の必要があると認めるときは、法令に基づく措置が講じられる場合を除き、直ちに当該商品等の名称、これを供給する事業者の名称及び所在地その他必要な事項を市民に周知しなければならない。

第2節 表示等の適正化

(表示の適正化)

第16条 事業者は、その供給する商品等について、消費者がその購入又は使用若しくは利用に際し、消費者がその選択を誤ることにより消費者の利益が損なわれないようにするため、その品質、用途、内容、価格、量目その他必要な事項を適正に表示するよう努めなければならない。

(広告等の適正化)

第17条 事業者は、その供給する商品等について、虚偽又は誇大な表現その他消費者が選択を誤るおそれがある広告又は宣伝をしないよう努めなければならない。

(包装の適正化)

第18条 事業者は、その供給する商品について、品質保全上必要な限度を超え、商品の内容を著しく誇張する等の過大な包装を行わないよう努めなければならない。

(計量の適正化)

第19条 事業者は、その供給する商品等について、適正な計量を実施するよう努めなければならない。

(不適正な取引行為の禁止)

第20条 事業者は、消費者との間で行う商品等の取引等に関し、次の各号のいずれかに該当する行為であって規則で定めるもの(以下「不適正な取引行為」という。)を行ってはならない。

(1) 消費者に対し、不実のことを告げ、誤信を招く情報を提供し、威迫し、心理的に不安な状態に陥れ、又は執ように説得する等の不適正な方法で取引等をさせる行為

(2) 消費者に対し、著しく不利益をもたらす不適正な内容の取引等をさせる行為

(3) 消費者に対し、契約(契約の成立について、当事者間で争いのあるものを含む。)に基づく債務の履行を不当に強要し、若しくは不当に拒否し、消費者の正当な根拠に基づく契約の解除、取消等を妨げ、又は契約の解除、取消等によって生ずる債務の履行を拒否し、若しくは正当な理由がなく遅延させる行為

(4) 商品等の販売等をする事業者又はその取次店等実質的に販売等をする事業者からの商品等の購入を条件又は原因として、信用の供与をする契約又は保証を受託する契約(以下「与信契約等」という。)について、消費者の利益を不当に害することが明白であるにもかかわらず、取引等をさせ、又は消費者の利益を不当に害する方法で与信契約等に基づく債務の履行を強要する行為

(不適正な取引行為に関する調査)

第21条 市長は、事業者が不適正な取引行為を行っている疑いがあると認めるときは、事業者に対し、その行為の方法、内容その他の事項について調査を行うことができる。

2 市長は、前項の規定に基づく調査を行うに当たっては、必要に応じて国、県その他関係機関に対し、協力を求め、連携を図るものとする。

(立入調査等)

第22条 市長は、前条第1項の調査を行うに当たり、必要があると認めるときは、この条例の施行に必要な限度において、その職員をして事業者の事務所、営業所その他の事業を行う場所に立ち入らせ、帳簿、書類、設備その他の物件を調査させ、又は関係人に質問させることができる。

2 前項の規定による立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人から求められた場合は、直ちにこれを提示しなければならない。

3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(事業者に対する資料提出の要求)

第23条 市長は、第21条第1項の調査を行うに当たり、必要があると認めるときは、事業者に対し当該行為の正当性等を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該事業者が正当な理由がなく当該資料を提出しないときは、第20条各号の不適正な取引行為をしたものとみなす。

(指導及び勧告)

第24条 市長は、事業者が第13条又は第20条の規定に違反していると認めるときは、当該事業者に対し、その違反を是正するための措置その他必要な措置を講ずるべきことを指導し、又は日光市消費生活審議会の意見を聴いて勧告することができる。

(公表)

第25条 市長は、前条の勧告をした場合において、当該事業者が正当な理由がなくその勧告に従わないときは、日光市消費生活審議会の意見を聴いて、その者の氏名又は名称、その勧告内容その他必要な事項を公表することができる。

2 市長は、前項の公表をしようとするときは、当該事業者に対し、その旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該事業者が意見を述べることに応じないとき、緊急のとき、又は当該事業者の所在が不明で通知できないときは、この限りでない。

(不適正な取引行為等に係る情報の提供)

第26条 市長は、次に掲げる場合であって、不適正な取引行為等による被害の発生及び拡大を防止するために必要があると認めるときは、第24条に規定する指導又は勧告を行わず、その行為の方法、内容その他の必要な情報を市民に提供することができる。

(1) 不適正な取引行為等に関する苦情の処理の申出が相当数あり、消費者に重大な被害が生じ、又は生ずるおそれがある場合

(2) 前号に掲げる場合のほか、消費者に重大な被害が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、対応に緊急性が必要とされる場合

2 市長は、前項の規定による情報の提供をしようとするときは、あらかじめ当該事業者に対し、その旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該事業者が意見を述べることに応じないとき、又は当該事業者の所在が不明で通知できないときは、この限りでない。

第4章 消費者教育等の推進

(啓発活動及び教育等の推進)

第27条 市は、消費生活に関する知識の普及及び情報の提供等消費者に対する啓発活動を推進するとともに、消費者が生涯にわたって消費生活について学習する機会があまねく求められている状況に鑑み、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて消費生活に関する教育を充実する等必要な施策を講じ、消費者教育を推進するものとする。

2 市は、消費者教育に携わる人材の育成及び消費者教育に使用される教材等の充実に努めるものとする。

第5章 苦情等の処理

(苦情等の処理)

第28条 事業者は、商品等の供給その他消費者と事業者との取引等に関して生じた消費者の苦情又は相談(以下「苦情等」という。)に誠意をもって応じ、これを適切かつ迅速に処理しなければならない。

2 市長は、消費者から苦情等の申出があったときは、当該苦情等を解決するために必要な助言、あっせんその他の措置を講ずるものとする。

3 市長は、前項の措置を講ずるために必要があると認めるときは、事業者又は関係者に対し、資料の提出、報告又は説明を求めるとともに、必要な調査を行うことができる。

4 市長は、前2項の苦情等の処理を行うに当たっては、必要に応じ、国、県その他関係機関との連携に努めるものとする。

(専門的な人材の確保等)

第29条 市長は、苦情等を専門的知見に基づき適切かつ迅速に処理するため、専門的知識及び経験を有する相談員の確保、相談員の資質の向上その他の必要な施策を講ずるものとする。

(市長への申出)

第30条 消費者は、この条例の規定に違反する事業活動により、消費者の利益が害されている疑いがあるときは、市長に対し、その旨を申し出て、適切な措置を講ずるよう求めることができる。

2 市長は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この条例に基づく措置その他適切な措置を講ずるものとする。

3 市長は、前項の措置を講じた場合において、消費者の利益の擁護及び増進を図るため必要があると認めるときは、第1項の規定による申出の内容並びにその処理の経過及び結果を公表するものとする。

第6章 日光市消費生活審議会

第31条 この条例の規定により定められた事項並びに市長の諮問する消費生活の安定及び向上に関する事項を調査審議するため、日光市消費生活審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、10人以内の委員をもって組織する。

3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 消費者を代表する者

(3) 消費者団体を代表する者

(4) 前3号に掲げる者のほか、市長が特に必要と認める者

4 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

5 委員に欠員を生じたときの補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前各号に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第7章 雑則

(委任)

第32条 この条例の施行に関し、必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。

(日光市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 日光市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成18年日光市条例第43号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和3年12月2日条例第45号)

この条例は、公布の日から施行する。

日光市消費生活条例

平成29年3月6日 条例第2号

(令和3年12月2日施行)

体系情報
第8編 福祉・住民生活/第4章 市民生活/第4節 消費生活
沿革情報
平成29年3月6日 条例第2号
令和3年12月2日 条例第45号