○日光市手話言語条例
平成30年3月2日
条例第4号
手話は、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。
ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うための言語として、また、知識を蓄え文化を創造するために必要な言語として、手話を大切に育んできました。
しかしながら、社会においては、これまで手話が言語として認められてこなかったことや、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったことなどから、ろう者をはじめとする手話を必要とする人は、必要な情報を得ることやコミュニケーションをとることを制限され、多くの不便や不安を感じながら生活してきました。
こうした中で、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語として位置付けられました。しかし、手話が言語であるとの認識は、広く共有されている状況ではありません。
私たちは、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進や手話の普及に努め、手話を使用することができる環境を整えることにより、豊富な観光資源を有する国際観光文化都市として、日光市民だけではなく、日光市を訪れる人を含む全ての人が、心を通わせ、理解し合える地域社会の実現を目指し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市が実施する手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、全ての人が、相互に人格及び個性を尊重し、支え合いながら共生する地域社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 手話に対する理解の促進及び手話の普及は、手話を必要とする人が手話により意思疎通を図る権利を有することを理解し、全ての人が相互に人格及び個性を尊重し合うことを基本として行わなければならない。
(市の責務)
第3条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話に対する理解の促進及び手話の普及を図り、手話を使用しやすい環境を整備するため、必要な施策を実施する責務を有する。
(市民の役割)
第4条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市が実施する手話に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第5条 事業者は、手話を必要とする人が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備に努めるものとする。
(施策の実施)
第6条 市は、次に掲げる施策を実施するものとする。
(1) 手話に対する理解の促進及び手話の普及に関すること。
(2) 手話による情報の発信及び取得に関すること。
(3) 手話による意思疎通の支援に関すること。
2 市は、前項の施策のほか、障がい者に関する計画に基づき、手話に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
3 市は、日光市立学校設置条例(平成18年日光市条例第89号)に規定する小学校及び中学校において、手話の啓発及び手話を学びやすい環境を整備するよう努めるものとする。
4 市は、第1項の施策を実施するときは、手話を必要とする人その他関係者の意見を聴くよう努めるものとする。
(委任)
第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成30年4月1日から施行する。