令和7年度施政方針

市政経営の基本方針

私が市長に就任させていただいてから4年、一貫して「夢と希望」を持ち続けることが、当市の魅力を高め、将来にわたり光り輝く日光市を創造できるものと信じ、第2次日光市総合計画後期基本計画に掲げた施策に積極的に取り組み、その目標達成に向け、様々な事業を展開してまいりました。

このような中、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、市内外の皆さまに日光市の観光PRを積極的に推し進めてきた結果、インバウンド需要の高まりとともに、街にも本来の賑わいが戻ってきたと感じているところです。

この4年間、人口減少、少子高齢化の進行や先行きが不透明な財政状況など、山積する課題に対処することに加え、コロナ禍や物価高騰といった社会的な危機から市民を守り、持続可能な日光市を構築することに腐心してまいりました。

しかしながら、依然として状況は好転せず、厳しい行政経営を余儀なくされています。特に、物価高騰の波は、人口減少や若年世代の転出超過が著しい地方の自治体に大きなダメージを与え、コロナ禍において縮小した地域経済に追い打ちをかけるような状況となっています。このような時こそ、まずは、市民の皆さまが安全、安心に暮らせることを最優先させ、地域経済の活性化を図っていかなければなりません。

これらの苦境は、見方を変えれば、社会が大きく変革するタイミングでもあります。当市が持つ様々な魅力を最大限活用することで、これらのピンチをチャンスに転換していく契機にすることができるものと捉えています。引き続き、日光市が将来にわたり持続していけるよう「選択」と「集中」を基本とした行財政改革に積極的に取り組むとともに、市民の皆さんや民間企業の方々とも手を携え、誰もが安心して暮らせる基盤づくりを進めていかなければなりません。

今年は、第2次日光市総合計画の最終年として、後期基本計画に掲げた重点プロジェクトや重要施策の総仕上げに取り組むとともに、次の10年が「夢と希望」に満ちた日光市であり続けられるよう、第3次総合計画の策定に向け、新たな日光市を描いてまいります。

令和7年度予算編成の基本的な考え方

国は、昨年11月に閣議決定した「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」において、「日本経済・地方経済の成長」、「物価高の克服」、「国民の安心・安全の確保」を3つの柱とし、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を目指すとしています。

当市におきましては、後期基本計画に掲げた重点プロジェクトや重要施策を着実に実施することで、地域経済の活性化や市民の皆さんの生活を守るとともに、物価高騰対策にしっかりと取り組むことといたしました。

また、賃上げや物価高騰の影響から人件費、物件費などの経常経費が大きく膨張する大変厳しい財政状況の中においても、必要な予算を確保するため、こうした事態に備えて積み立てている基金を有効活用することで、この難局を乗り越え、次期総合計画につないでいく予算としたところです。

この結果、令和7年度の一般会計予算案は、前年度当初予算と比較して3.0パーセント、13億6,000万円の増となる、470億7,000万円としたところです。

なお、国民健康保険事業など7つの特別会計の予算につきましては、前年度と比較して2.2パーセント減の189億8,075万4,000円といたしました。

また、公営企業会計の水道事業は、5.3パーセント減の34億2,122万2,000円とし、下水道事業については、1.7パーセント増の44億5,211万9,000円といたしました。

主な施策展開

(1)まちづくりの重点施策

後期基本計画においては、定住人口の減少が進む中、「まちづくり人口の充実」に向け、3つのプロジェクトを位置付けています。

魅力いっぱいプロジェクト(産業振興)

Route.Nを活用した観光プロモーション映像を作成し、新たな誘客につなげるとともに、日光市観光協会の組織体制の強化を図るため、外部人材の登用や人材育成を支援してまいります。

また、地域特性を活かした産業基盤の確立を目指し、新たな産業団地の造成に向けて取り組むとともに、企業が行う情報発信等のデジタル化に対する助成制度を創設するなど、市内産業の活性化を推進してまいります。

加えて、ゼロカーボンシティの実現に向け、脱炭素先行地域における再生可能エネルギー発電設備の導入を促進するほか、公共施設のLED化を加速させるなど、市が率先して取組を進めることで、市全体の脱炭素化を目指してまいります。

人がつながるプロジェクト(互助・共助)

令和7年度から新たに始まる重層的支援体制整備事業において、複雑化・複合化したニーズに対応する包括的な支援体制を構築するとともに、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、地域包括ケアシステムを充実してまいります。

さらに、市民が主体の地域づくりを推進するため、各地域まちづくり協議会の特性に応じた活動を支援することで、実行力を高め、地域力の向上を図ってまいります。

未来かがやくプロジェクト(教育)

授業の質の向上や、教員の人材育成等を図るため、複数の教員が協力して指導・支援にあたるチーム担任制の導入に向け調査研究してまいります。

また、一人ひとりを尊重し、誰一人取り残さない教育環境を確保するため、教育支援センターにおける相談体制を充実させるとともに、中学校部活動の地域移行を進めるなど、児童生徒が継続してスポーツに親しむことのできる環境を整えてまいります。

(2)まちづくりの基本施策

未来を拓きこころを育む、教育のまちづくり

生涯学習・社会教育

中学2年生を対象とする広島平和記念式典への新たな派遣制度を設けるなど、自発的かつ意欲的に学習に取り組む機会を提供するとともに、地域の担い手として活躍できる人材の育成を目指してまいります。

学校教育

教育環境の向上に向け、小中学校の特別教室へのエアコン設置を進めるほか、試行的に体育館へスポットクーラーを設置し、実効性を検証するとともに、児童生徒の確かな学力向上に向け、学校司書を始め指導助手や学校支援員の適正な配置を進めてまいります。

文化財

文化財の保存と活用を推進するため、文化財保存活用地域計画の策定に着手するとともに、本年は日光杉並木街道の植樹400年の節目の年であることから、栃木県を始め関係機関等と連携し、記念事業に取り組んでまいります。

スポーツ

昨年に引き続き「NIKKO RUN 2025」を実施するほか、関係団体との連携によりニュースポーツを始めとした各種大会を開催するなど、ライフステージに応じたスポーツ活動を推進するとともに、スポーツによる健康増進事業として、総合型スポーツクラブや市内医療機関と連携し、あらゆる世代に運動の習慣化を促進する事業に取り組んでまいります。

健やかで人にやさしい、福祉と健康のまちづくり

社会福祉

社会福祉協議会や公共職業安定所と連携し、自立を促進するとともに、貧困対策として、新たに、中高生の受験料などを助成するほか、フードバンクや子ども食堂への支援を強化し、貧困の連鎖防止や安全安心な居場所の拡充を図ってまいります。

子育て支援

安心して子育てができる環境づくりに向け、山間地・過疎地域等における新たな保育体制の構築に着手するとともに、おひさま保育園の開園に伴い、ほかの施設に転園する児童の保護者に対し、制服などの購入費用を助成してまいります。

高齢者福祉

中山間地域における安定的な介護サービスの確保に向け、指定管理者への新たな交付金制度を設けるとともに、足尾地域の医療・介護施設の廃止に伴い、高齢者の移動手段の確保に向け、移送サービスの拡充を検討するほか、デイサービスセンターの整備に着手してまいります。

障がい者福祉

職業訓練や雇用機会の拡大に向け、関係団体等と連携し、就労の支援に取り組むとともに、手話通訳奉仕員等の養成に係る費用に対する助成制度を創設し、障がい者への情報提供体制を強化してまいります。

保健・医療

生活習慣病の発症や重症化を予防するため、適切な情報提供や受診勧奨、保健指導を実施するとともに、市内の安定的な医療提供体制の確保に向け、二次救急病院群輪番制病院に運営費を助成するほか、足尾地域への診療所整備に着手してまいります。

魅力と活力にあふれる、産業のまちづくり

観光

鬼怒川温泉駅前や足尾銅山観光、西参道第2駐車場多目的トイレなどの整備を進めるとともに、閑散期である冬季の誘客や宿泊客の獲得に向けて、アドベンチャーツーリズム、ナイトタイム・モーニングタイムツアーなど国内外に向けたコンテンツの造成に取り組んでまいります。

農林水産業

収益性の高い農業生産構造を確立するため、生産基盤の整備、共同利用機器やデジタル技術の導入等を支援するとともに、新たな担い手の確保に向け、企業による農業参入を促進するほか、日光産農畜産物の高付加価値化と生産量確保に向け、日光産和牛の購入費に対する助成制度を創設してまいります。

商工業・雇用・労働

市内雇用を促進する観点から国や民間企業等と連携したセミナーや説明会を積極的に開催するとともに、起業・創業の促進に向け、相談者のニーズに応じてサテライトサロンを開催することで、起業希望者に対し実効性のある支援を進めてまいります。

快適で住みよい、居住環境のまちづくり

都市基盤整備

第2次日光市都市計画マスタープランの策定や立地適正化計画の改定を進めるとともに、産官学金連携のエリアプラットフォームの構築や駐車場整備など、中心市街地の利便性及び回遊性の向上に向けた取組を進めてまいります。

道路・河川

地域間を結ぶ幹線道路ネットワークの整備に加え、児童生徒の安全確保に向け、道路施設の整備や狭隘(きょうあい)な道路の拡幅等を進めるとともに、老朽化した橋りょう、舗装等の計画的な点検の実施や予防保全型の維持管理に取り組んでまいります。

住宅・住環境

市営住宅の効率的な運用のため、集約化や長寿命化を進めるとともに、空き家の管理及び利活用の促進に向け、空家等管理活用支援法人と連携し、ワンストップ相談窓口を設置するほか、空き家バンクの積極的な利用を促してまいります。

交通政策

コンパクト・プラス・ネットワークの都市づくりと公共交通の利便性向上に向け、地域公共交通計画を見直すとともに、市営バスの鬼怒川温泉女夫渕線について、利用実態に即したバス車両への更新や運行の効率化を図ってまいります。

暮らしを支える、安全・安心のまちづくり

防災・危機管理

災害や危機に強いまちづくりに向け、災害時の生活用水を確保するため、民間企業や個人所有の井戸等を活用する仕組みを構築するとともに、避難行動要支援者への災害時の対応をより確実なものとするため、情報を一元化するシステムを活用し、個別避難計画の実効性を高めてまいります。

消防・救急

令和9年度の消防指令システム設備等の更新に向け、実施設計に着手するとともに、消防団員の準中型自動車運転免許や消防職員の大型自動車運転免許の取得費助成制度を創設するほか、今市消防署の女性職員専用仮眠室を改修するなど、環境改善を図ることにより、安定的な消防・救急体制を構築してまいります。

防犯・交通安全・消費生活・生活環境

関係機関や民間企業と連携し、交通安全イベントを開催することで高齢者の交通安全意識の醸成を図るとともに、消費生活センターのシステム改修による相談体制の充実や特殊詐欺等被害防止の啓発に取り組み、消費者被害の防止を図ってまいります。

自然と共生する、環境のまちづくり

環境保全

日光市地球温暖化対策実行計画の改定に取り組むとともに、一般住宅への再生可能エネルギー設備導入の促進に向け、住宅用蓄電システム設置費用に加え、太陽光発電設備費用を助成することで、災害レジリエンスの強化と脱炭素化による環境のまちづくりに取り組んでまいります。

資源循環

生ごみ処理機の設置に対する助成や無料貸出、家庭系廃食用油の回収拠点の拡大、食品ロスの削減に係る周知啓発などにより、ごみの減量化・資源化を図るとともに、廃棄物処理施設の適切な維持管理と長寿命化に取り組んでまいります。

(3)まちづくり推進の視点

シティプロモーション

市内外に市のブランドイメージを発信するため、「隠れすぎ遺産」の積極的な活用を進めるとともに、より戦略的なプロジェクトの立案に向け、ブランディングコンセプトの効果検証と今後の方針を検討するためのマーケティング調査を実施いたします。また、チョコレート専門の外部人材を活用し、「CHOCOTTO NIKKO」の認知拡大に向けたアウタープロモーションや登録商品のブラッシュアップなどに積極的に取り組んでまいります。

市民との協働

市民参画を推進するため、市民活動支援センターと連携し、市民活動団体に対する各種支援、情報発信を行うことで、団体や企業間の連携、交流を促進するとともに、新たに、中高生へのボランティア体験を提供するなど、市内の若者が行うまちづくり活動や賑わい創出活動を支援してまいります。

地域づくり

地域のコミュニティを維持していくため、まちづくり協議会への支援や集落支援員による地域巡回を行うとともに、地域おこし協力隊や地域で活動する市民等と連携し、移住希望者の検討段階に応じた支援に取り組むことで、移住・定住の促進を図ってまいります。

人権尊重・男女共同参画社会

女性の多様な働き方を支援する「スマート・ワーク・ウーマンプロジェクト」の活動強化や、民間企業等との連携による女性の就業体験事業に取り組むとともに、性別による無意識の思い込みの解消やLGBTQに対する理解促進のための周知を図り、多様な価値観が共有される、差別のない社会を築いてまいります。

国際化

国際化、多文化共生社会の推進に向けて、外国人市民が安心して生活できるよう、国際交流協会等との連携による情報提供や相談体制の充実に取り組むとともに、多文化共生に向けた相互理解を深めるため、国際理解推進員による講座等を開催してまいります。

行政事務の効率化

デジタル人材の育成に向け、職員のデジタル技術の習得やDX推進の理解を深める研修等の充実に取り組むとともに、行政手続きのオンライン化、デジタル化に向けた戦略の見直しを進めてまいります。また、多様化、複雑化する行政課題に的確に対応していくため、民間企業等との連携を強化するとともに、業務改善に積極的に取り組んでまいります。

人件費・物件費の削減

会計年度任用職員を含めた職員定員適正化計画の見直しや老朽化が進む公共施設の設備更新計画の策定などを進めるとともに、三役の給料及び一般職の管理職手当の削減を継続してまいります。

使用料等の見直し

受益者負担の原則に基づき、施設の維持管理費を踏まえた使用料の見直しを進めるとともに、公共施設使用料に関する減免制度の運用の統一化を図ってまいります。また、企業会計におきましては、独立採算の原則に則った受益者負担の適正化を進めるため、下水道使用料の見直しに取り組んでまいります。

新たな財源の創出

ふるさと納税による増収を図るとともに、市有財産の台帳を整備し、未利用財産の積極的な処分を進めてまいります。

公共施設マネジメントの推進

第2期実行計画の評価対象とした76施設に関する方向性や具体的なスケジュールを定め、施設総量の圧縮を進めるとともに、公共施設の適切な維持管理に努めてまいります。

感染症対策

記録的な感染拡大を見せているインフルエンザや、今や日常的になりつつある新型コロナウイルス感染症から市民の生命と健康を守るため、高齢者に対するこれらの予防接種を継続するほか、中学3年生及び高校3年生に対し、予防接種費用を助成してまいります。

(4)物価高騰対策

昨今の社会経済の動向から、引き続き、物価高騰への対策に取り組むこととし、「プレミアム付共通商品券発行事業」や「自治会の防犯灯及び商店街の街路灯の電気料全額助成」のほか、「保育園等における第2子の副食費無償化」、「学校給食費の全額助成」を継続して実施することで、市民の皆さんの生活を支援してまいります。

結びに

当市は、平成18年の合併以降、人口減少の一途をたどり、回復の兆しすら見えない状況にあります。第2次総合計画後期基本計画においては、定住人口が減少しても持続可能な日光市を構築するため、交流人口に関係人口や活動人口を加えた「まちづくり人口」の増加を目指し、様々な取り組みを進めてまいりました。しかし、このような中においても、若年層の女性を中心に人口流出に歯止めがかからず、東京を中心とした都市部への行き過ぎた一極集中は、地域間格差をますます激しいものとしています。

一方で、コロナ禍や物価高騰の波は、都市部で暮らす人たちに、人間が持つ本来の生きる力や豊かな生活の在り方を改めて考えるきっかけを与え、DXの進展とも相まって、地方への移住が加速している状況を生み出しており、ここに勝機を見出すことができるのではないかと捉えています。

地方移住への鍵は、「住むところ」と「働くところ」の2点に集約されるといっても過言ではありません。このため、立地適正化計画に基づく居住誘導区域内の低未利用地活用事業により居住の促進を図るとともに、空き家バンクを充実させる取組を強化することで、首都圏からの移住者の暮らしを確保できる仕組みを展開してまいります。

また、様々な業種業態の企業誘致などにより、若者からお年寄りまで生涯を通して元気に働くことができる環境を作り出し、市内経済の活性化につなげていくため、新たな産業団地の造成や市内労働者の雇用の確保に向けた取組を強化してまいります。

新一万円札の顔である渋沢栄一氏の言葉に「夢七訓」があります。

夢は全ての原動力であり、幸せになるためには夢を持たなければならないとする名言であります。

私は、夢と希望を持ち続けながら、当市が保有する数多くの資源を生かし、まちづくりを進めていくことで、将来にわたり光り輝く日光市を創造することができると確信しております。

日光市に関わるあらゆる人々が、情報を共有し、想いを共感することで、新しい価値を共創することが可能となります。市民の皆さんとともに、社会的な困難に立ち向かい、夢と希望を持ち続けることで、人口減少により地域の衰退が懸念される日光市の未来を明るく変革できるよう、全力を尽くして市政経営に取り組んでまいります。

議員各位並びに市民の皆さんのご理解、ご協力をお願い申し上げまして、令和7年度の施政方針といたします。

この記事に関する問い合わせ先

企画総務部秘書広報課秘書係
電話番号:0288-21-5133
ファクス番号:0288-21-5137
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