○日光市議会基本条例

平成25年11月29日

条例第39号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第5条―第8条)

第3章 市民参加の推進(第9条―第11条)

第4章 議会と市長等との関係(第12条)

第5章 議会における審議(第13条)

第6章 議員間の自由討議(第14条)

第7章 委員会の活動(第15条・第16条)

第8章 議会及び議会事務局体制整備(第17条―第22条)

第9章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第23条―第25条)

第10章 最高規範性及び議会改革の推進(第26条・第27条)

附則

市議会は、日本国憲法に定められた市民を代表する唯一の議事機関であり、二元代表制のもと、市長等執行機関との健全な緊張関係を保持しながら、立法機能と監視機能を十分に発揮し、地方自治の本旨の実現を目指さなければならない。

市議会は、市民の多様な意見を代表し、自由闊達な議論を通じて論点や課題を明らかにした上で、その解決のための意見集約を、市民に開かれた場で公平、公正に行わなければならない。また、市長等執行機関の監視機能を果たすのみならず、政策提言や政策立案をとおして地域社会の発展と市民福祉の向上に資する責務がある。

私たち日光市議会は、以上の市民に対する使命を深く自覚するとともに、先人により築かれてきた自由な議論を尊重する風土と議会改革の伝統をしっかりと継承し、未来に向けて議会活動を推進する。ここに市民の負託に応え、信頼される議会を目指し、地域における民主主義の発展に寄与することを誓い、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、議会が担うべき役割、議員の責務等に関する基本的事項を定めることにより、市民の負託に応える日光市議会の実現を図り、もって市民生活の向上及び日光市の限りない発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は、真の市民自治の実現を目指し、議会活動の活性化によって、常に議会のあるべき姿を追求していくものとする。

(議会の役割)

第3条 議会は、市民の代表で構成される市の意思決定機関である。

2 議会は、市民を代表する唯一の議事機関であり、条例の制定、予算の議決及び決算の認定並びに行政活動を監視する権限を有する。

(議決事件)

第4条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定により特に重要な計画等を議決事件として加えるものとする。

2 前項の規定に基づく議会の議決すべき事件については、次に掲げるとおりとする。

(1) 本市における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想の策定及び変更に関すること。

(2) 前号の基本構想を具体化するための行政運営の基本方針等を定める基本計画の策定及び変更に関すること。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第5条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動をしなければならない。

(1) 公正性、透明性及び信頼性を重視した市民に分かりやすい視点、方法による議会運営を行うこと。

(2) 議決責任を深く認識し、積極的な情報公開に取り組み、説明責任を果たすこと。

(3) 自由闊達な討議を行い、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにするよう努めること。

(4) 市民からの意見聴取機会の拡大による政策提言及び政策立案の強化に努めること。

(5) 市民本位の立場から、適正な市政運営が行われているか監視し、評価すること。

(議長及び副議長の選出)

第6条 議会は、議長及び副議長の選出に当たり、議場においてそれぞれの職を志願する者に対して所信を表明する機会を設け、その選出の過程を市民に明らかにしなければならない。

2 前項に定めるもののほか、議長及び副議長の選出に関し必要な事項は、別に定めるところによる。

(議員の活動原則)

第7条 議員は、本条例に定める理念及び原則に基づいて制定される条例、規則等を遵守し、市の意思決定機関の一員としての責務を果たさなければならない。

2 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自らの資質向上に努めること。

(2) 個別的事案の解決だけでなく、市民全体の福祉の向上を目指すこと。

(3) 議会活動を最優先とするよう努めること。

(会派)

第8条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し、活動する。

3 会派は、議会運営及び政策立案に関し、必要に応じて会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。

第3章 市民参加の推進

(市民参加の推進)

第9条 議会は、本会議を始め全ての会議を原則として公開する。

2 議会は、公聴会や参考人招致などによって、市民の意見や学識経験を有する者の識見を政策形成に反映させるように努めるものとする。

(議会報告会)

第10条 議会は、市政の課題全般に柔軟に対処するとともに、市民に対する説明責任を果たすため、議員及び市民が自由に情報や意見を交換する議会報告会を行うものとする。

2 前項に定めるもののほか、議会報告会に関し必要な事項は、別に定めるところによる。

(パブリックコメント手続)

第11条 議会は、基本的な政策の策定に当たり、パブリックコメント手続を行うことができる。

第4章 議会と市長等との関係

第12条 議会審査における議員と市長等執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。

(1) 議員の市長等に対する質疑及び質問は、一問一答方式で行うことができる。

(2) 本会議又は委員会に出席した市長等は、議員から質疑及び質問を受けたとき、その論点を明確化し議論を深める目的で、議長又は委員長の許可を得て、議員に対し趣旨質問をすることができる。

(3) 議会は、閉会中に市長等に対し文書質問を行い、文書による回答を求めることができる。

(4) 前号の文書質問に関し、必要な事項は、別に定めるところによる。

第5章 議会における審議

(市長等による政策等の形成過程の説明)

第13条 議会は、提案される重要な政策、施策又は計画等(以下「政策等」という。)について、議会審議における論点を明確にするため、市長等に対し次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策等の提案に至った背景、目的及び効果

(2) 日光市まちづくり基本条例(平成20年日光市条例第1号)第20条に規定する総合計画等における根拠又は位置付け

(3) 他の自治体の類似する政策等との比較

(4) 市民意見の反映(市民意識調査等)の有無とその理由

(5) 関係法令及び条例との整合性

(6) 政策等の実施に要する経費(将来にわたる負担を含む。)及びその財源

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たって、立案、執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後の政策評価に資する審議に努めるものとする。

3 議会は、提案される予算案及び決算の審議に当たっては、市長等に対し政策説明資料を作成するよう求めるものとする。

第6章 議員間の自由討議

第14条 議会は、言論の場であることを認識し、合意形成に向けて議員相互の自由な討議を中心に運営されなければならない。

2 議会は、共通認識を図り政策形成に資するため、積極的に議員間の自由討議を行うものとする。

第7章 委員会の活動

(委員会の運営)

第15条 委員会の委員長及び副委員長は、所管委員会に係る市政の課題に対し常に問題意識を持って委員会を運営するよう努めなければならない。

2 委員会は、その所管する事務事業について任意の課題を定め、通年調査研究を行い、調査結果について議会に報告するものとする。

3 委員会は、積極的に地域に出向き、市民団体等からの意見聴取に努めるものとする。

4 議会は、正副委員長会議を設置し、委員会間の連携を密にするとともに情報の共有を図らなければならない。

5 前各項に定めるもののほか、委員会の運営については、日光市議会委員会条例(平成18年日光市条例第297号)に定めるところによる。

(議会運営委員会)

第16条 議会運営についての協議は、主として議会運営委員会において行うものとする。

第8章 議会及び議会事務局体制整備

(議員研修の充実強化)

第17条 議会は、議員の資質の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めなければならない。

2 議会は、学識経験を有する者及び市民等との議員研修会を積極的に開催するものとする。

3 議会及び議員は、市政の課題を広い視点から捉えるため、情報収集に努めるとともに事例等を調査研究するよう努めなければならない。

(議会事務局)

第18条 議会事務局は、議員の議会活動に必要とされる行政情報の提供に努めるものとする。

2 議会は、議会事務局の調査機能及び法務機能の充実強化、組織体制の整備を図るよう努めるものとする。

3 前2項に定めるもののほか、議会事務局については、日光市議会事務局条例(平成18年日光市条例第298号)等に定めるところによる。

(予算の確保)

第19条 議会は、二元代表制のもと議事機関としての機能を充実するため、必要な予算の確保に努めるものとする。

(議会図書室)

第20条 議会は、議会図書室を適正に管理、運営するとともに、その機能強化に努めるものとする。

2 前項に定めるもののほか、議会図書室については、別に定めるところによる。

(議会広報の充実と市民との情報共有)

第21条 議会は、ホームページ及び広報紙等を通じて議会活動を市民等に対して公開し、市民等との情報の共有に努めなければならない。

2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、広報活動に努めるものとする。

3 議長は、議会における決定事項等について、積極的な情報の発信に努めなければならない。

(専門的識見の活用)

第22条 議会は、学識経験を有する者の識見を活用し、議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

第9章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第23条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、品位の保持に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、議員の政治倫理は、日光市議会政治倫理条例(平成18年日光市条例第357号)に定めるところによる。

(議員定数)

第24条 議員の定数は、日光市議会議員定数条例(平成25年日光市条例第28号)に定めるところによる。

2 議員の定数の改正に当たっては、行政改革の視点だけでなく、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して市民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を活用することができる。

3 議員定数の条例改正案は、法第74条第1項の規定による市民の直接請求があった場合及び市長が提案する場合を除き、改正理由の説明を付して議員が提案するものとする。

(議員報酬)

第25条 議員報酬は、日光市議会の議員の議員報酬、費用弁償等に関する条例(平成18年日光市条例第42号)に定めるところによる。

2 議員報酬は、市民の負託に応える議員活動に対する妥当な対価として定められなければならない。

3 議員報酬の改正に当たっては、行政改革の視点だけでなく、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して市民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を活用することができる。

4 議員報酬の条例改正案は、法第74条第1項の規定による市民の直接請求があった場合及び市長が提案する場合を除き、改正理由の説明を付して議員が提案するものとする。

第10章 最高規範性及び議会改革の推進

(最高規範性)

第26条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則及び規程等を制定してはならない。

2 議会は、この条例を運用するに当たり、議会に関する日本国憲法、法及び他の法令等の条項を遵守しなければならない。

(議会改革の推進)

第27条 議会は、この条例の目的が達成されているかどうかを年度ごとに議会運営委員会において検討するものとする。

2 議会は、前項による検討の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は、平成26年1月1日から施行する。

日光市議会基本条例

平成25年11月29日 条例第39号

(平成26年1月1日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成25年11月29日 条例第39号