足尾銅山の世界遺産登録に向けて
なぜ世界遺産登録を目指すのか
足尾銅山は、国内最大の銅山として日本の近代化・産業化に大きく貢献しましたが、同時に、社会問題化した公害も発生しました。これらを「光と影」と表現することもありますが、その影の部分を光に変えるべく先人たちは様々な努力を行ってきました。そのような歴史を掘り起こし後世に伝えていくことは、今この地に暮らす私たちの責務であり、誇りでもあります。足尾に残る産業遺産は、人類共通の課題とされる「経済発展と自然環境の調和」を考えるうえで大変貴重なものであり、また、その歴史を物語るシンボルであることから、これらを構成資産として世界遺産登録を目指しています。
世界遺産暫定一覧表追加記載提案書の提出
足尾銅山は、明治以降の日本の近代化と産業化に大きく貢献したと同時に、日本で初めて社会問題化した公害とその対策の歴史でもあり、世界的にみても鉱業の発達とそれに伴う環境破壊とその対策の経緯といった視点で評価された遺産はなく、極めて稀な事例と考えられます。日光市では『足尾銅山-日本の近代化・産業化と公害対策の起点-』を「世界文化遺産国内暫定一覧表」へ追加記載をするため、栃木県と共同で提案書を平成19年に文化庁へ提出しました。
世界遺産暫定一覧表追加記載提案書 (PDFファイル: 800.7KB)
提案書提出後の取り組み
平成20年に文化庁から提案に対する調査審議結果が公表され、「足尾銅山」は世界遺産暫定一覧表追加記載候補の資産と位置づけられるとともに、次の課題が示されました。「世界史的・国際的な視点に立ち、国内外の同種資産との比較研究を進めること」、「文化財としての保護が十分ではないものについては、指定・選定又は追加指定等を行うこと」の二点です。
前者については、我が国における銅鉱山遺跡とその関連技術及び鉱害防除技術の全体像を明らかにする観点から、国内外の同種資産との比較研究を進めると同時に主題の再設定を検討し、その成果を「足尾銅山の鉱害防除遺産群」として平成31年3月に刊行いたしました。また、後者については、史跡足尾銅山跡の追加指定を進め、平成28年3月に「史跡足尾銅山跡保存活用計画」を策定し、産業遺産の保存・活用をめざす取り組みを行っています。
足尾銅山の鉱害防除遺産群-世界文化遺産登録をめざして- (PDFファイル: 10.0MB)
これまでの取り組み
平成6年3月 | 「エコミュージアムあしおの創造〈足尾地域開発基本構想策定調査報告書〉」足尾町として全町博物館化を構想 |
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平成9年3月 | 「エコミュージアムあしおの創造整備構想策定調査報告書」エコミュージアムの一部計画 |
平成15年3月 | 「産業遺産を活用した観光振興方策策定調査(栃木県足尾町周辺)報告書」足尾の産業遺産は世界遺産としての価値を持つ資源との位置づけ |
平成17年3月 | 「エコミュージアムあしおの創造環境のまちづくり」産業遺産と環境学習のまちづくりをテーマに世界遺産登録をめざす |
平成19年5月 | 日光市足尾銅山の世界遺産登録推進検討委員会を設置 |
平成19年9月 | 文化庁へ「世界遺産暫定一覧表追加記載提案書」を提出 |
平成20年3月 | 足尾銅山跡として通洞坑、宇都野火薬庫跡が国史跡に指定される |
平成20年9月 | 文化庁から提案に対する調査審議結果が公表され、「足尾銅山」は世界遺産暫定一覧表追加記載候補の資産と位置づけ |
平成22年2月 | 掛水重役役宅が栃木県有形文化財に指定される |
平成26年3月 |
史跡足尾銅山跡に本山坑、本山動力所跡、本山製錬所跡、本山鉱山神社跡が追加指定 古河橋が重要文化財に指定される |
平成28年3月 | 「史跡足尾銅山跡保存活用計画」策定 |
平成31年3月 | 提案の主題を再検討した報告書「足尾銅山の鉱害防除遺産群」を刊行 |
令和3年12月 | 史跡足尾銅山跡本山動力所跡建屋復原工事(補助事業)が完了 |
この記事に関する問い合わせ先
教育委員会事務局文化財課世界遺産推進係
電話番号:0288-25-3200
ファックス番号:0288-25-7334
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更新日:2024年02月01日